訪問看護師の給料・年収|基本給・オンコール・インセンティブを分解

執筆・編集:まっく部長公開日:
採用代行・採用支援中小企業診断士医療系国家資格

訪問看護ステーションの採用代行事業を運営し、看護師採用を支援してきました。医療機関の中途採用支援では、求人票、応募書類、面接、採用条件、紹介会社との調整などを実務で確認しています。

確認できる範囲:求人・採用条件・応募・選考・紹介会社との調整などは、採用代行・採用支援の実務から確認します。一方、看護師としての臨床経験に基づく評価ではありません。臨床実務が重要な論点は、採用代行の経験だけで断定せず、必要に応じて看護師への確認・取材や公的・専門資料と区別して扱います。

訪問看護師の給料は、毎月の固定部分、オンコール・実績で変わる部分、賞与に分けると比較できます。本人の担当回数と入職時期を当てはめれば、求人のモデル額から自分の見込み額へ整理できます。

ここでは、提示条件を読み解く方法を架空の計算例と質問表で説明します。平均年収などの統計を読む際の対象範囲と、入職後の給与がどう決まるかも分けて扱います。

比較するときの三つの区分

まず通常月の固定部分を取り出し、担当開始前と開始後で変わる手当を加えます。賞与を含む年収は、最初の12か月と通年で担当する12か月を分けると、入職直後の収入を考えやすくなります。

目次

毎月の給与は、固定部分と変動部分に分ける

訪問看護の給与を固定部分、回数で変わる支給、賞与に分け、費用を別枠にして書面で確認する図

基本給と毎月定額の手当は、本人の職種・役割・勤務時間を前提に読みます。資格手当や役職手当が求人に載っている場合も、自分に適用する額と期間が分かってから計算に使います。

オンコールやインセンティブは、支給条件と回数・実績に応じる部分です。担当しない月や実績が少ない月の扱いが分かれば、固定部分とは別に変動幅を考えられます。

給与の区分主に確認する内容比較表への書き方
基本給自分への提示額、試用期間中の額月額と適用期間
固定手当資格・役割・勤務形態などの支給条件名称、金額、終了・変更条件
固定残業代金額、対象時間、超過分の支給通常の賃金と別欄
オンコール関係待機、電話、出動の支給条件単価と自分の想定回数
インセンティブ対象実績、基準、上限、精算時期固定部分に混ぜず別欄
賞与算定基礎、対象期間、支給条件通常年と初年度を区別
実費の精算交通費、駐車場代などの精算範囲給与比較とは別の費用欄

この区分は、提示条件を読み比べるための編集上の整理です。すべての訪問看護事業所に同じ手当があることや、各項目の支給を保証するものではありません。

公的統計は、訪問看護だけの給与かを確かめる

統計の「看護師」は、勤務先を訪問看護に限定した集計とは限りません。調査対象の施設と働き方が本人の条件に近いかを読むことが、平均値を参考にする前提です。

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査は、医療・福祉を含む主要産業の労働者を対象としています。給与は2025年6月分、賞与などは原則として2024年の一年分を調べており、すべてが同じ一年間の支払実績というわけではありません。調査の概要

同調査の結果概況でいう「賃金」は、6月分の所定内給与額の平均で、所得税等を差し引く前の額です。時間外・深夜などの超過労働給与額を含む金額や、手取り額とは区別する必要があります。主な用語の定義

調査全体の対象と、公表する概況の集計対象も同一ではありません。令和7年の概況は10人以上の常用労働者を雇用する民営事業所について一定の条件で集計しているため、資料を使う際は対象の説明まで確認してください。利用上の注意

統計を比較に使うときは、調査年、勤務先の範囲、一般・短時間などの就業形態、給与に含む項目をそろえます。本記事では、この統計から訪問看護師の平均年収を独自計算していません。

オンコール手当は、待機・電話・出動を分ける

オンコールの給与は、電話を持つ待機への支給と、電話・出動への支給に分けます。平日と休日の単価が異なる場合は、本人の担当予定を当てはめると見込み額を計算できます。

月給例のオンコール回数と本人の回数が違えば、提示額の読み方も変わります。担当開始前の期間があるなら、その月の固定部分と開始後の手当を別々に試算する必要があります。

出動手当がある場合は、一回の数え方と、電話対応・記録・時間外や深夜の割増分との関係を確認します。一度の呼び出しで複数の対応があった場合や、日付をまたいだ場合の集計方法も、給与担当者に聞くと具体的です。

待機手当の有無だけで、待機時間のすべてが労働時間かどうかは判断できません。厚生労働省のガイドラインは、使用者の指揮命令下に置かれたかを実態に基づき個別に判断する考え方を示しています。労働時間の適正把握ガイドライン

電話・出動に伴う業務時間と給与明細の項目が対応していれば、入職後も支給内容を照合できます。手当の額に加え、対応開始から記録終了までをどう申告するかが、給与担当者へ聞く内容です。

担当する働き方は、給与と一緒に確認してください。訪問看護のオンコール・休日・働き方では、待機範囲や交代先、翌日の勤務まで整理しています。

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インセンティブは、発生する基準と対象外を確認する

訪問看護のインセンティブで対象実績、支払時期、上限を確認する図

「頑張れば増える」という説明は、対象実績、発生基準、計算単位が分かれば試算できます。基準を超えた部分だけが対象か、月全体へ適用するかで金額は変わるため、本人の勤務条件を使った計算例を聞く方法があります。

訪問予定のキャンセル、同行、会議、研修、有給休暇がある月の扱いも確認が必要です。件数などの実績に含まれる範囲と、給与の算定対象になる範囲が同じとは限らないためです。

インセンティブの締日と支払月が分かれば、実績が出た月と入金される月を分けて考えられます。支給開始時期と上限も合わせて残すと、入職直後に見込める額が明確になります。

聞く項目質問の文例
計算単位件数、時間、その他のどの実績で計算しますか
発生基準基準を超えた部分だけが支給対象ですか
対象外キャンセル、同行、会議、研修はどう数えますか
休暇がある月休暇や短時間勤務がある月の基準はどうなりますか
上限・支払月支給上限、締日、実際の支払月を教えてください
条件の変更算定基準が変わる場合はいつ説明がありますか

訪問件数を増やせる前提だけで年収を組み立てないようにしましょう。この記事は件数の目標や臨床業務の速さを勧めるものではなく、自分に適用される給与計算の条件を確認するためのものです。

賞与は、基礎額と初年度の扱いを聞く

賞与の「基本給の何か月分」は、本人への基本給と支給条件がそろって初めて試算できます。前年度の事業所全体の実績なら参考値として置き、自分の支給条件とは分けて扱います。

算定期間の途中に入職する場合は、在籍期間、評価、試用期間の扱いで初回の額が変わることがあります。最初の12か月にどの賞与が入り、何を基礎に計算するかが質問の中心です。

年俸制と説明された場合も、年間額の中に賞与相当額や固定残業代を含むかを確認しましょう。年額を何回に分けて払うか、別途支給とされた手当が何かを聞くと、月々の受取見込みを整理できます。

未定の賞与額は「条件付き」または「未確認」と記録します。前年度実績を仮定に使う場合も、その条件が分かる形なら、確定した固定部分と並べて収入の幅を考えられます。

固定残業代は、オンコール関連の手当と二重に数えない

固定残業代が含まれる場合は、その金額と時間数、対象となる労働の範囲を確認してください。厚生労働省の募集時の明示に関する資料では、固定残業代を除く基本給、手当の金額と時間数、超える時間外労働分の追加支給を示す記載例が案内されています。募集時などに明示すべき労働条件

定額の手当であっても、通常の賃金と割増賃金に当たる部分を区別し、法定の計算による割増賃金に足りなければ差額の支払が必要です。厚生労働省の説明を踏まえ、オンコールや出動の手当が何を含むか、名称だけで判断せず確認しましょう。基本給に含めた割増賃金って何?

年収を試算する際は、すでに月給に含まれている固定残業代や手当を、別に足さないようにしてください。対応時間に応じる追加支給がある場合は、その部分だけを区別し、算定方法が不明なら給与担当者に計算例を依頼しましょう。

架空の計算例で、固定部分と条件付きの額を分ける

以下は計算方法を説明する架空例です。求人・給与相場の調査結果ではなく、待機回数や手当単価も説明用に設定しています。

基本給25万円と固定手当3万円で、毎月の固定部分を28万円とします。待機手当は一回2,000円を月4回、インセンティブは月1万円、賞与は年間40万円と仮定して、これらの項目だけを合計します。

項目架空の設定・計算金額
月の固定部分250,000円+30,000円280,000円
月の待機手当2,000円×4回8,000円
月のインセンティブ仮定した額10,000円
上記三項目の月合計280,000円+8,000円+10,000円298,000円
固定部分の年換算280,000円×12か月3,360,000円
待機手当の年換算8,000円×12か月96,000円
インセンティブの年換算10,000円×12か月120,000円
仮定した年間賞与仮定した額400,000円
上記項目の年合計3,360,000円+96,000円+120,000円+400,000円3,976,000円

この397万6,000円は、待機回数とインセンティブが毎月同じで、賞与も仮定どおりという条件付きの合計です。出動、時間外・深夜・休日の割増、交通費等は計算していないため、実際の給与総額や手取り額を表していません。

待機やインセンティブを見込まない場合は、固定部分の年換算336万円が比較の起点です。賞与40万円は仮定として別欄に置くと、固定部分に何を加えた合計かが分かります。

自分への提示額で使う際は、担当開始前と開始後の期間を分けます。最初の12か月と通年で担当する12か月を別々に計算すれば、入職時期による収入差を整理できます。

入職後の給与がどう決まるかも聞く

入職後の給与について評価基準、判断時期、決定者を聞く図

採用代行の実務では、人事考課制度や賃金テーブルがない事業者もありました。私は、社員が将来を考えられるように説明することも訪問看護の経営者の役割だと伝えてきました。

給与を比較する際は、入職時の提示額と、その後の給与の決まり方を分けて聞けます。「昇給は何を基準に、いつ判断しますか」「担当業務や役割が変わった場合、給与はどう決まりますか」という質問なら、現時点の制度を具体化できます。

評価制度や賃金テーブルがない場合は、誰が何をもとに給与を決めるのかが次の質問です。検討中の制度があれば、決まっている内容と未定の内容を分けてもらうと、今の時点で判断に使える情報が分かります。

3年後の年収は、業績や本人の勤務条件でも変わるため、金額を確約できるかだけで職場を評価する必要はありません。昇給基準、評価時期、役割変更時の扱いに説明があるかを見ます。ここに示した質問は、経験をもとに作った読者向けの提案で、実際の会話の再現ではありません。

費用の負担は、額面年収とは別欄で比較する

車両、通信機器、駐車場などは、会社が用意するものと本人が立て替えるものを分けると必要な支出が見えます。手当で賄う費用があるなら、支給額と実費の差も給与とは別に計算できます。

自家用車を使うなら、業務利用の取り決め、燃料費の算定、駐車場代、保険に関する会社の説明を求めてください。事故時の連絡先や費用負担についても、曖昧なままにせず規程を確認するのが実務上の確認点です。

精算日が給与支払日と違う場合、一時的に立て替える金額も準備が必要です。交通費の精算を給与と別欄に置けば、生活に使える収入と業務のために預かる費用を混ぜずに管理できます。

額面から手取りへの換算は、税や社会保険など本人の条件が関わるため、一定の割合で保証できません。この記事の計算例を手取りの目安にせず、必要なら自分の条件を伝えて給与担当者に確認してください。

提示条件をそろえて、年収の説明を確かめる

本人の担当回数、役割、勤務時間が分かってからモデル年収を読み替えると、金額の前提をそろえられます。次の表では、提示額とその条件、未回答の項目を一緒に整理できます。

比較する内容金額と一緒に確かめる条件
基本給・固定手当本人への提示額、試用期間中の違い、適用する期間
固定残業代基本給との区別、対象時間数と金額、超過分の扱い
待機・電話・出動それぞれの担当回数と支給条件、担当開始前後の期間
インセンティブ計算単位、対象実績、支給開始時期、締日と支払月、上限
賞与算定基礎と支給条件、初年度の扱い、確定額と見込み額の区別
自己負担・立替精算会社が用意するもの、本人の負担、立替分の精算時期
STEP
本人に適用される金額を確認する

採用側の説明がモデル例か、自分への提示かを確認しましょう。試用期間、担当開始前、短時間勤務などで条件が変わる場合は、その期間ごとに分けてください。

STEP
固定部分と条件付きの部分を計算する

まず毎月の固定部分をまとめ、その後で待機回数や実績に応じる部分を加えましょう。金額の根拠がない項目はゼロと決めつけず、未確認として別に残してください。

STEP
説明と条件書面の違いを尋ねる

承諾を判断する前に、提示された書面と面接で聞いた内訳を照合しましょう。違いがあれば、どの条件が本人に適用されるのか、採用側に回答を依頼してください。

厚生労働省の資料は、選考中に当初の条件が変わる場合の変更内容の明示と、労働契約締結時の労働条件通知書等による明示を案内しています。承諾前に書面を依頼するのは、これらを踏まえて判断材料をそろえるための実務上の勧めです。労働条件を明示するタイミング

給与の説明で分からない点は、訪問やオンコールの働き方と一緒に整理できます。
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よくある質問

訪問看護に転職すると年収は上がりますか?

勤務先や本人への条件が分からない状態では判断できません。現在の給与も同じ項目に分け、担当回数や勤務時間、賞与の対象期間をそろえて比べてください。

オンコール手当込みの年収をそのまま信じてよいですか?

何回の待機と出動を想定した額かを確認してください。担当しない期間や回数が少ない月の扱いまで分かれば、自分の働き方に合う見込みを作れます。

インセンティブが高い職場を選ぶと有利ですか?

支給基準や対象実績が分からないままでは比較できません。固定部分の額を先に確認し、条件付きの増額をどの程度見込むかを分けて考えてください。

全国平均より提示額が低ければ、条件が悪いのでしょうか?

統計の対象と本人の条件が違えば、単純な比較はできません。勤務時間、担当業務、固定部分、手当、賞与、自己負担をそろえて判断材料を集めましょう。

給与欄全般の読み方も確認したい場合は、基本給と各種手当の内訳から整理しましょう。看護師求人の給与欄の見方で、賞与や固定残業代を含めた確認方法をまとめています。

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参考資料と確認範囲

公的資料は2026年10月3日に読み、制度と統計の対象・用語の確認に使用しました。計算例と質問表は編集上の例であり、個別求人の収集、実測の給与比較、特定の職場への評価は行っていません。

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