看護師の平均年収は、厚生労働省のjob tagで524.7万円と表示されています。2025年の賃金構造基本統計調査を加工した全国値であり、転職後に自分が受け取る額を示す数字ではありません。job tag「看護師」の統計データ
平均は集計対象と計算方法を知ったうえで、自分の給与条件を考える参考にできます。ここでは原表の読み方をたどり、基本給・賞与・夜勤手当を分けて、本人への提示額と比べる方法を説明します。
以下の年収概算は、令和7年調査の一般労働者、職種「看護師」、男女計、企業規模計10人以上の数値から計算しています。短時間労働者、訪問看護だけの集計、本人の手取り額には置き換えられません。
看護師の平均年収524.7万円は、何を足した数字か

元になるのは、令和7年賃金構造基本統計調査の一般労働者・職種第1表です。男女計の看護師について、きまって支給する現金給与額は月36万5,900円、年間賞与その他特別給与額は85万6,400円となっています。政府統計の職種第1表
この二つを使うと、365,900円×12か月+856,400円=5,247,200円です。万円単位で小数第1位に丸めると524.7万円となり、job tagの表示と一致します。job tagの算出方法
| 項目 | 原表の値を円に換算 | 対象・意味 |
|---|---|---|
| きまって支給する現金給与額 | 月365,900円 | 2025年6月分、超過労働給与額を含む |
| うち所定内給与額 | 月333,200円 | 上の金額から超過労働給与額を除いた部分 |
| 年間賞与その他特別給与額 | 856,400円 | 原則2024年1〜12月の支給額 |
| 年収概算 | 5,247,200円 | 月例給与を12倍し、上記の賞与等を加えた計算値 |
所定内給与額は月例給与の内数なので、36万5,900円に33万3,200円を足してはいけません。原表の金額単位は千円で、365.9千円を365,900円と読み替えています。原表の項目・単位
給与と賞与は、集計する期間が異なります。調査では2025年6月の給与等と、原則2024年1〜12月の賞与等を尋ねているため、この年収概算は一人ずつの2025年の年間支給総額を直接平均したものではありません。調査の時期・調査事項
一般労働者・男女計・企業規模をそろえて読む
統計の「一般労働者」は、短時間労働者に該当しない通常の所定労働時間・日数の労働者を指します。「正社員・正職員」という雇用形態の区分とは別なので、一般労働者の平均を正社員だけの平均と説明しないようにしましょう。就業形態と雇用形態の定義
今回の第1表には男女計、男性、女性の行があり、上の計算では男女計を使用しています。男性と女性の平均を単純に半分ずつ足した数字でも、女性看護師だけの数字でもありません。第1表の性別区分
調査全体は、一定規模以上の民営・公営事業所から抽出して実施しています。この記事で使った原表の企業規模計は10人以上であり、すべての働き方や小規模事業所を一律に含む全国民の平均ではありません。調査対象と推計方法
平均年齢は同じ行で42.1歳ですが、42歳の人なら同額という意味でもありません。年齢や経験が近い集計を探す場合も、勤務時間、役職、地域、手当を受ける働き方の違いが残ることに注意してください。第1表の年齢・給与
採用側へ給与を相談するなら、平均との差を伝えるだけでなく、自分の経験を給与にどう反映するか、夜勤なしの固定部分はいくらかを聞くと具体的です。等級表などの制度がある場合は、その適用条件も比較材料になります。
基本給と所定内給与額は同じものではない
基本給は、本人への提示で金額と支給条件を確かめる給与の項目です。統計の所定内給与額には、基本給以外の手当が含まれ得るため、月33万3,200円を看護師の平均基本給と読み替えることはできません。所定内給与額の定義
厚生労働省は、所定内給与額を、きまって支給する現金給与額から時間外・深夜・休日・宿日直・交替手当などの超過労働給与額を引いた額と説明しています。どちらも所得税等を控除する前の額であり、給与口座への振込額とは分けて読む必要があります。主な用語の定義
| 比べたいもの | 確認する資料・項目 | 避けたい読み違い |
|---|---|---|
| 自分の基本給 | 本人への条件提示、賃金規程がある場合は該当部分 | 統計の所定内給与額を基本給とみなす |
| 毎月の固定部分 | 基本給と、本人に適用される定額手当 | 勤務回数で変わる手当まで固定収入にする |
| 夜勤等を含む月例給与 | 想定回数、単価、含まれる手当 | 平均給与に夜勤手当を重ねて加える |
| 賞与込みの年間見込み | 算定基礎、支給条件、対象期間 | 月給の12倍を賞与込みの年収と呼ぶ |
| 生活に使える金額 | 税・社会保険等の控除、必要経費 | 額面に一定率を掛けて手取りを保証する |
手当は名称が同じでも、対象となる勤務や算定方法がそろっているかを照合する必要があります。基本給・手当・賞与の確認表で、本人への提示額と支給条件を項目ごとに並べられます。
夜勤手当と賞与は、平均から自分の額を逆算しない
全国平均には、さまざまな勤務の人の給与が入っています。平均年収から仮の夜勤手当を引いて「日勤だけならこの年収」と出したり、そこへ自分の夜勤手当を足したりすると、元の内訳が分からないまま計算することになります。
本人の年収見込みは、基本給と固定手当を土台にし、夜勤手当を予定回数で別に計算します。開始前の期間や回数が変わる月も分けておくと、通常の一年と入職直後の一年の差が見えてきます。
賞与の「何か月分」は、何を算定基礎にするかとセットで聞きましょう。前年度の支給実績があっても、入職時期や算定対象期間、評価などを確認するまでは、本人への確定額として予定に入れないほうが比較しやすくなります。
固定残業代を含む提示なら、通常の賃金とその金額を分け、対象時間と超過分の扱いを確認してください。ハローワークの求人情報入力案内でも、固定残業代を区分し、超過分の追加支給を明記する扱いが示されています。賃金欄の記載方法
給与欄の内訳や、賞与を含む本人の見込みを詳しく整理したい場合は、給与欄の読み方も確認してください。基本給、夜勤手当、固定残業代の具体的な照合は、そちらで扱っています。

パートの時給と常勤の年収を、そのまま並べない

job tagでは、看護師の1時間当たり賃金として一般労働者2,699円、短時間労働者1,933円が表示されています。一般労働者の値は残業代と賞与を含む一方、短時間労働者の値は残業代と賞与を含まないため、同じ条件の時給比較ではありません。時間当たり賃金の注記
一般労働者の時間当たり賃金は、年間の概算を、所定内・超過の実労働時間を年換算した値で割って求めています。これを求人の基本時給と読み替えず、短時間勤務を比較するなら、本人の時給、支払対象時間、賞与の有無をそろえましょう。計算式と短時間労働者の定義
勤務日数を減らす場合も、年収が労働時間と完全に同じ割合で減るとは限りません。定額手当や賞与がどう変わるか、時間外の勤務がどの程度見込まれるかを、契約条件ごとに確かめてください。
求人の月給、現在の年収、転職後の年収を同じ期間にそろえる
現在の収入は、給与明細や賞与明細の支給記録から整理できます。忙しい月だけを12倍すると時間外勤務の影響が大きくなるため、転職先と同じ期間・給与項目で並べるのが比較の出発点です。
転職先は、通年勤務した場合と入職後の最初の12か月を分けて見込みを作ってください。途中入職による賞与、夜勤開始前、試用期間など、変わる条件だけを別に残せば、毎月の生活費を考える際にも使えます。
次は比較方法を説明する架空の例で、実在求人や相場ではありません。現職の前年支給総額を510万円、転職先の固定月額を31万円、仮定した年間夜勤手当を48万円、賞与見込みを70万円とします。
| 比較欄 | 架空の計算・設定 | 合計 |
|---|---|---|
| 現職の前年実績 | 仮定した支給総額 | 5,100,000円 |
| 転職先の固定部分 | 310,000円×12か月 | 3,720,000円 |
| 通年勤務の条件付き見込み | 3,720,000円+480,000円+700,000円 | 4,900,000円 |
| 初年度の条件付き見込み | 固定部分3,720,000円+夜勤手当360,000円+賞与350,000円と仮定 | 4,430,000円 |
この架空例では、通年の見込み490万円に対し、初年度は443万円です。差を生むのは夜勤手当と賞与の前提なので、本人の比較でも、この二つの適用時期と支給条件を先に尋ねると判断しやすくなります。
この例では、追加の時間外給与、交通費、他の手当、控除額を計算していません。夜勤の回数や賞与の設定を現実の条件として勧めるものでもなく、本人の条件をそろえるための算術例です。
採用側へ確認するときは、金額の根拠と回答者を残す

紹介担当者の試算、採用担当者の説明、本人への正式な提示は、数字の出どころが異なります。回答者と計算条件を残しておけば、夜勤回数や入職日が変わったときに、どの項目を計算し直すか分かります。
全国平均、現職の実績、転職先のモデル年収、本人への提示を別々に書きます。資料の日付、対象期間、額面か手取りかを添え、出どころが不明な数字は比較から外して確認してください。
自分の雇用形態、所定時間、夜勤予定、入職日を伝え、通常月と初年度の内訳を聞きます。年収だけの回答なら、基本給、手当、賞与の前提まで戻って説明を依頼しましょう。
回答者と確認日を残し、提示書面の項目と照合します。未回答の賞与や回数をゼロと決めつけず「未確認」と記し、その条件で承諾を判断できるか考えてください。
厚生労働省は、労働契約の締結に際して賃金や労働時間等を明示する義務を説明しています。承諾を考える前に書面を依頼するのは判断材料をそろえる実務上の勧めであり、すべての書面を必ず承諾前に交付するという法的説明ではありません。採用時の労働条件明示
書面を受け取った後の照合には、労働条件通知書のチェックリストを使えます。訪問看護を検討中なら、オンコール・実績連動を含む給与の分け方で、その働き方に特有の支給条件を補えます。
説明と書面の違いが気になる場合は、労働条件通知書の確認方法も参照してください。賃金以外の勤務時間や更新条件も合わせて整理できます。

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平均年収と給与の見方でよくある質問
- 平均より低い提示なら、条件の悪い職場ですか?
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平均だけで職場を評価することはできません。勤務時間、夜勤の有無、役職、賞与などの違いを確認し、自分に必要な固定収入と働き方に合うかを判断しましょう。
- 524.7万円は、訪問看護師の平均年収ですか?
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訪問看護だけに限定した値ではありません。この記事で確認したのは職種「看護師」の一般労働者の集計であり、訪問看護に絞った年収として転用できません。
- 月36万5,900円が平均基本給ということですか?
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その数字は、きまって支給する現金給与額の平均です。超過労働給与額なども含むため、基本給の平均とは説明できません。
- 平均年収を12で割れば、毎月の手取りが分かりますか?
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年収概算には賞与等が入り、税や社会保険等も控除していません。毎月の生活費を考えるときは、本人の月例給与と控除の条件を給与担当者に確認してください。
平均は参考値にして、最後は本人への条件を確かめる
平均年収を読んだ後は、本人への固定収入と、夜勤回数・賞与に左右される見込みを分けて比べるのが次の作業です。平均との差を埋めることよりも、必要な収入と希望する勤務が両立するかを判断の軸にしましょう。
この記事の原典は2026年10月3日に確認しました。統計は令和7年調査の現行公開値を使い、個別求人の収集、特定の職場の給与調査、手取り計算は行っていません。
